utete's comic and biology (ウテテの漫画と生物)

Mainly written in broken English. Mainly about comic books or biology. 最近日本語記事も書き始めました。

おススメ漫画: 古見さんは、コミュ症です。

概要・作品テーマやキーワード

古見さんは、コミュ症です。」は特に個性豊かな生徒が集まる高校を舞台とした、学園青春ものです。コミュニケーション能力に極めて乏しいヒロイン、古見硝子さん(古見さん)が、高校生活の中で次第に周囲と打ち解けていく様がコミカルに描かれています。恋愛も一つの大きな題材ではありますが、それが前面に出る「ラブコメ!」という作品ではありません。主人公や友人に助けられつつ、不器用ながらも人間関係を広げていく中で成長していく古見さん、というのがメインのテーマになっています。

特に

  • 学園コメディ青春ものが好きな人

  • ほのぼのした日常ものが好きな方

にオススメな作品です。どちらかというと男性向けな気もしますが、性別関係なく楽しめる作品だと思われます。
2021年1月現在19巻まで発売されており、連載が続いています。

大まかな話の流れ

物語は主人公である只野仁人が高校に入学し、古見さんと出会うところから始まります。古見さんは超絶美人でとても目立っており、クラスの中でも文字通り神聖視されていました。孤高の存在としてクールに振舞っているように見えた古見さんでしたが、只野くんはちょっとしたきっかけから、彼女が本当は「友達を作りたい。でも人と喋るのが苦手で怖い、嫌われたくない。」と悩んでいることを知ります。そこで只野くんは彼女の友達作りを手伝うことを申し出たのでした。
ところが2人が通う学校は、実は「アクの強い者」が集められた学校です。果たして古見さんはたくさんの友達を作ることができるのでしょうか?

私がこの漫画を勧める理由

1. 誰もに覚えがある、学校の「ワイワイ感」にあふれている

登場人物が個性派ぞろいであることもあり、「漫画的に誇張された」エピソードはたくさんあります。それでも1つ1つのエピソードの本筋は「あぁ、高校生の時近いことあったなぁ。懐かしいなぁ。」となるものばかりです。この作品にはクラス全体でイベントに向けてワイワイするエピソードも、女子同士での恋バナエピソードも、男性同士での馬鹿話も含まれます。いずれも奇跡・非日常といったものではありませんが、振り返ると特別な思い出になるんだろうなぁというエピソードばかりです。私自身読んでいる最中に「自分も高校生の時近いような馬鹿話を友達同士でしたなあ」「行事で似たようなトラブルあったなぁ」と自身の高校時代が思い出されることが何度もありました。

漫画的ギミックで盛り上げながら、高校生真っ盛りの人にとっては「あるある」な、高校を過ぎた人にとっては懐かしいような、そんなエピソードが多岐にわたってとにかく毎話丁寧に描かれています。恋愛が好きな人も、友情が見たい人も、ギャグが見たい人も、とにかく多様な人が「日常」「思い出」から枝が伸びる形で楽しめる作品だと思います。

2. とにかく一人一人のキャラクターが個性的

舞台となる高校は「個性的な生徒が集まった高校」です。それもあって生徒1人1人は必ず何かしらの強烈な個性を持ちます。コミュニケーションが苦手な古見さんをはじめとし、性別不詳なコミュ強、中二病、硬派モドキ、忍者モドキ…。全て挙げていくとキリがありません。1で述べたような日常のエピソードを、このキャラクター達の個性が彩っていきます。

ここで大切な点が2点。まず、それぞれの個性は否定されません。個性に由来する妙な行動に対するツッコミなどは入りますが、登場人物たちは互いに互いの特徴・習性をありのまま受容し、むしろそれを活かすような形で楽しい日常を送っています。自分の特性を自己嫌悪するような人物は複数いますが、エピソード内部で友人との関わり合いを通じそれを受け入れ、また成長していきます。
また、キャラクターが埋没しません。個性派の生徒が出ても1エピソードのみで退場というパターンが他作品でしばしば見られますが、この作品においては1度描写された人物が繰り返し出てきます。その結果クラスや学校内での多数の人物のつながり・その変化を眺めることができ、「主人公達(古見さんと只野君)」を見ているというより「主人公たちのクラス・学校」を見ているという感覚で作品を楽しめます。これは1で挙げた自身の「日常」「思い出」感を増幅する効果もあり、人物たちの個性が個別エピソードの面白さのみならず作品全体の魅力をも高めています。

3. 只野君が有能かつ聖人

只野君ですが、実は個性豊かな学校の中で唯一といっていいほど際立った特徴のないキャラクターです。しかし他人を観察し相手がどういう人物で何を考えているのかを読み取る能力にすぐれており、また個性的な相手に対してもあまり動じることなく平常に関わります。コミュニケーションが苦手な古見さんの周囲との意思疎通におけるサポートをしている場合が多いのですが、(おそらく無意識ですが)その際も手を貸しすぎることなく古見さん自身の自然な成長も促しています。古見さんに限らず個性故に他者との関係性に悩む人物は作中に複数いますが、そういった相手に対しても相手の心情をくみ取り、コミュニケーションのサポートを担っています。クラスになじめていないような相手には自然に話しかけ、その人の交友関係が広がる「キッカケ」となります。

さらに間違いなく作中トップの苦労人です。序盤には「あの古見さんと直接関わっている」という嫉妬から学級委員長を半ばおしつけられ、以降も個性派揃いの周囲に振り回されることばかりです。それでも先述した相手の気持ちを汲み取る能力、動じない性格もあってすぐにクラスでも頼られる存在となっています。最新19巻時点では担任から進路相談の補助を頼まれるに至っていますが、そこでもクラスメイト1人1人の正確と意思を尊重した素晴らしい助言をしています。

とにかく嫌味もわざとらしくもなく、常に場を繋ぎそっと支える役割をしている人物です。作品を読んでいてまったく嫌な気持ちにならないのは間違いなく素晴らしい彼の人格のおかげでしょう。

結論

この作品は「青春という日常、日常という青春」の描写が極めて優れた作品です。サザエさん方式ではなく作中で時間経過もありますが、それも「青春」のはかなさを感じさせるという点でよい働きをしています。1話完結のストーリーも多いのでどこからでも読めますが、「時間経過に伴う人間関係の変化」というのが作品の見どころになっていますので是非1巻から読んでいただきたいです!
この記事を通じて「古見さんは、コミュ症です。」に興味を持って下さる方が一人でもいらっしゃれば幸いです。ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

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 後書き

太字と赤字の使い分けに悩みますね。それに関してでも漫画に関してでも、何かご意見やアドバイスございましたらコメントくださると幸いです。