utete's comic and biology (ウテテの漫画と生物)

Mainly written in broken English. Mainly about comic books or biology. 最近日本語記事も書き始めました。

おススメ漫画:僕らはみんな河合荘

※この記事は以前英語で書いた記事の日本語版です。ただし英語力不足故に書ききれなかった部分については追加しています。

概要・作品テーマやキーワード

僕らはみんな河合荘」は主人公であるウサが、河合荘という場所で個性的な住民たちとともに送る楽しい生活、そしてヒロインである律と仲良くなっていく過程を描く純愛系ラブコメディです。宮原るりさん(恋愛ラボの作者でもあります)の作品で、すでに完結しています。群像劇的な面もあり、ウサ律以外がメインとなる話も数多くあります。作品を象徴するキーワードは以下のとおりです。

  • 帰る場所
  • 互いに成長
  • 巣立ち

大まかな話の流れ

ウサは異常なほどにお人好しであり、中学生のころには俗にいう「変人」をも気にかけて優しく向き合っていたことから、彼らにいつも付きまとわれ大変な苦労をしました。この経験から、ウサは高校生になった際に「普通の暮らし」を夢見て「変人からは距離を置こう」と決意します。
ところが引っ越してきた河合荘には 、美人だが男を見る目がない麻弓さん、化粧が異常にうまく男たらしだが素顔をさらさない彩花、マゾヒストで変態ニートのシロなど、変人ばかりが住んでいたのです。幸い管理人である住子は優しい人で、その姪孫である律もそこに暮らしていました。律は本の虫でコミュ障ですがとても可愛く律に一目ぼれしたウサは前述の変人たちと共に暮らしていくことを決意。苦労が絶えないけれど楽しい生活が始まりました。

僕らはみんな河合荘 1 (ヤングキングコミックス)

僕らはみんな河合荘 1 (ヤングキングコミックス)

  • 作者:宮原 るり
  • 発売日: 2011/05/30
  • メディア: コミック

Caution! 以下多少のネタバレが含まれます!

私がこの本を大好きな理由

私はラブコメ、恋愛もの全般が大好きですが、あらゆる恋愛系漫画の中で河合荘*1が私にとっての一番の作品です。以下その理由を述べていきます。

1. カップリングが明確で、ハーレム展開などはない

私は多数の女性が一人の男性に恋をして奪い合う展開や、男女比が極端に女子側に偏っている話が苦手です。昨今のラブコメでは主人公は女性に囲まれる浮気性なタイプである場合が多く、ハーレム形成をしてしまう場合すらあります(多重婚を認める国や文化等を否定するつもりは一切なく、単に私が日本で育ったためか複数の女の子と同時に付き合うことに違和感を覚えてしまうだけのことです)。またハーレムエンドでなくとも、敗北が確定したヒロインは深く傷つくだけでなく、その後作品内で雑に扱われるようになる場合すらもあります。私は基本的に大団円のハッピーエンドが好きですし、何より推している女の子が負けたあと適当な扱いを受けているのをみると本当につらい気持ちになります。

こんな私のような「ハーレム物が苦手」「誰かが深く傷つく姿は見たくない」「ハッピーエンドがよい」という人に河合荘は本当にお勧めです。ウサと律という強力なカップリングが当初から成立しており、多少の修羅場や鬱展開はあるものの、それらは深刻なものでも長引くものではありません。そして登場した人物は皆最後まで丁寧に言及され、それぞれが幸せな状態で作品のエンドを迎えます。

加えて、男女比がほぼ1:1であることも推せるポイントです。私は「特定の主人公が多数の異性に一方的に言い寄られる」という展開より、「男女含め友達同士ワチャワチャしているなかで発展していく各カップ」という群像劇的な構図が非常に好きなのです。河合荘では「ウサ&律」というカップル以外の恋愛沙汰、男同士や女同士のワチャワチャ、友情など、偏りのない人間関係を楽しめますよ!

2. 各キャラクターが魅力的で、皆話の中で成長していく

この物語の主人公は一応ウサと律ですが、他の登場人物が中心のエピソードも多くあります。律やウサ以外の人物も人並みの悩みや問題点を抱えていますが、各個人にエピソードがしっかりと振られているために一人一人がそれらをどう乗り越え、成長するのかを見ることが出来ます。また、そもそも登場人物に不快感を覚えるような悪意ある人物がおらず*2個性的で変わったところがあってもそれが魅力的に、面白く見えるよう描かれています。そして彼らは本質的には優しい人ばかりです。したがって、彼らの気持ちや行動、努力を応援するような前向きな気持ちで読むことが出来ます。

3. シンプルに話が面白い

この作品は「ラブコメディー」です。恋愛や人間関係描写も重要ですが、コメディーの要素も非常に魅力的です。下ネタが多めなのでそこが苦手な人はいるかもしれませんが、日常回も特定のイベント回もユーモアやネタ、漫才のような会話にあふれています。そしてこれらの「ネタ的要素」はシナリオのシリアス面を台無しにすることなく、むしろネタ要素自体がシリアスなシナリオにすら自然に組み込まれています。シリアスとコメディーのバランスは私が読んだことがある漫画の中でもトップレベルだと感じています。

4. 律とウサが付き合った直後すぐに話が終らない

この要素、(少なくとも私にとっては)非常に重要です!!私は素晴らしいラブコメ作品を漫画でもライトノベルでも多数知っています。ところが非常に残念なことに、そのほとんどはクライマックスである「カップリングの成立」「告白の成就」を描いた後は後日談を1話程度でさっと描いて完結、というものです。即ち、「付き合った後のカップルとしての成長」を十分に描かない作品が非常に多いのです!

私は「恋人になることは通過点に過ぎず、その後2人がどうして、どうやって行くのか」が「恋人になるまでの過程」と同等かそれ以上に重要だと考えています。*3その点に関して、特に漫画にしては非常に珍しいことに、「河合荘」は「告白、カップル成立後」のエピソードをメインの2人だけについてでなく、他のキャラクターのその後についてすら単行本1.5冊分を使って詳細に描写しているのです!!*4

「この二人のこの先をもっと見ていたい!」と思った経験は漫画好きの多くの人が持ったことがあるのではないでしょうか? そういった人にもこの作品は非常にお勧めです。

結論

「河合荘」の魅力は他にももっとたくさんあります!が、あまり書くとネタバレになる上に、詳細については私の下手くそな日本語よりも計算しつくされた本編を直接読むことで知っていただきたいです!ただ時間があればこのレビュー内容も追加していきたいなぁとは思っています(英語版記事の日本語化はその一環です)。
この記事を通じて「僕らはみんな河合荘」に興味を持って下さる方が一人でもいらっしゃれば幸いです。ここまで読んで下さり、ありがとうございました。

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 後書き

英語記事の日本語化にともない自身の書いた英文見直してましたがまぁひどいですねぇ(明らかなミスもいくつかあったのでそれは修正したつもりです)。日本語記事も書きなれてないので出来はよくないとは思うのですが。DeepLも話題になっていますし、正直英語学習にリソースを割くことが5年後の自分の価値を高めるという点でいかほどに役立つのかという疑問もここのところずっと抱いています。
せっかく日本語記事と英語記事がそろうことですし、もう少し両言語での記事がそろったら「日本語記事のgoogle翻訳、DeepL翻訳と筆者の英語記事比較」とかやってみようとは思います(地獄を見る羽目になりそうですが)。

*1:以後「僕らはみんな河合荘」を「河合荘」と略記させて頂きます。

*2:ネタ枠やエピソード上変態系の犯罪者は一瞬ですが登場します。

*3:これまた私個人の話になりますが、私は恋愛観及びその描写性については「CLANNAD」というビジュアルノベルゲームに強い影響を受けています。この作品では「主人公とヒロインが付き合った後こそメイン」とすら言えるほど「後日談」を詳細に描く、ビジュアルノベルにおいても稀な作品です。

*4:河合荘は完結済みで、全11巻です。10%以上のエピソードが「ポスト告白」に割り当てられていることになります。